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湯河原に住む

湯河原で温泉付きの家を買う前に

湯河原の温泉付きの家の多くは、町営温泉から湯を引いています。買う前に、給湯の種類、毎月の温泉代、管の修理は誰がするのか、土地で何ができるのかを確かめましょう。

コンクリートの鉄道高架の下を通る、保温材で覆われた温泉の配管

東海道新幹線で分断された海側の湯河原温泉の宿へ、高架の下を通して湯を届ける配管。2019年12月の撮影です。

写真: 電車(新幹線)でゴー! / Wikimedia Commons · CC BY-SA 4.0, cropped

温泉は契約です

湯河原では、温泉の引かれた古い家がたくさん売りに出ています。この町の一番の魅力に聞こえますし、実際そうなりえます。ただ、こうした家の多くでは、温泉は建物と一緒に丸ごと自分のものになるわけではありません。町との給湯の契約で、保証金があり、毎月の料金があり、自分で管理する管があり、町が給湯を止めたり減らしたりできる決まりもあります。湯河原で家を探すなら、屋根と同じくらいこの契約を丁寧に読んでください。日帰り湯は温泉ガイドにまとめています。この記事は、家のお風呂の話です。

湯河原の町営温泉は、れっきとしたインフラです。昭和30年代の乱掘や過剰揚湯で温泉の水位が急に下がり、資源の枯渇が深刻になったことから、町は平成6年度から源泉をまとめて配湯する集中管理給湯システムを運営しています。長い歴史は湯河原が温泉の町になるまでに書きました。令和6年度末の利用者は230件で、そのうち自家用が133件です。町の温泉課がまとめた冊子が、買う人にとって一番役に立つ資料で、以下のほとんどはこの冊子によります。

給湯の種類

温泉付きの家でまず確かめたいのは、給湯の種類です。条例は三つを定めています。権利温泉は温泉の受給権利を持つ人への配湯、保証貸与温泉は保証金を町に預けて配湯の許可を受けた人への配湯、臨時貸与温泉は期限を決めて臨時に配湯するものです。町営温泉を使う自家用133件の内訳は、権利66件、保証56件、臨時11件。種類によって決まりが違います。災害や停電、故障などで町が配湯を止めたり減らしたりするとき、必要と認めれば保証貸与温泉と臨時貸与温泉の配湯許可を取り消すことができます。権利温泉は、この取り消しの対象に挙げられていません。

売主と不動産会社には、どの種類か、配湯量はどれだけか、権利や許可が売買で引き継げるかを示す書類を求めてください。そのうえで、契約の前に町の温泉課へ自分で確認しましょう。物件情報だけでは足りません。配湯量は毎分の量で決まります。町は毎分3.6リットル(配湯持分量は月約155立方メートル)以上でないと配湯せず、湯は送湯施設の分岐点で55度、50度を下らないことになっています。新しく保証貸与温泉を受けるには毎分1.8リットルあたり100万円の保証金が要るので、最低でも200万円です。まだ温泉の引かれていない家なら新設の施設負担金もかかり、毎分3.6リットルで100万円、メーターまわりは口径15ミリで62,790円から、掘削や路面復旧の費用は別です。

毎月の温泉代

次に毎月の料金です。その多くは固定費です。基本料金は配湯持分量、つまりその家が受けられる湯量で決まり、使用料は使った量で決まります。2025年6月の町議会の委員会資料で、町は自家用の保証貸与温泉、毎分3.6リットルで月10立方メートル使う場合を試算しています。現行の料金で月28,313円(税抜)、うち基本料金が24,883円、改定案では30,800円です。町の冊子にも令和8年4月から単価の改定があると書かれています。週末に少し使うだけの家でも、温泉代は税抜で月3万円ほど。誰も入らない月でもかかります。

この先の値上げも、すでに町の計画に入っています。同じ資料は、源泉所有者の設備の老朽化とコストの上昇、送配湯施設への流入量の減少を挙げ、集中管理給湯システムの整備から40年が経とうとしていると説明しています。計画は令和8年度に5%増、令和11年度に9%増、令和14年度に2%増の計3回の改定を検討しています。後の2回は源泉所有者や温泉委員会と協議を続ける段階で、決まったものではありません。家を持つつもりの年数ぶん、毎月の温泉代を予算に入れ、上がるものと考えておきましょう。

管と土地

敷地の中の管は、持ち主のものです。町は宅地内や私道などに埋設してある個人管は所有者の管理で、修理は自己負担としています。道路上の漏れは町の管理で、休日や夜間でも温泉課に連絡します。家の修理には、町が温泉工事公認業者の一覧を出しています。長く空いていた古い家なら、管と風呂まわりの配管を最後に工事したのはいつかを聞き、買う前に公認業者に見てもらいましょう。何年も空いていた家では、少しずつの漏れに気づく人がいませんでした。

土地にも決まりがあります。湯河原町は神奈川県内で風致地区が指定されている市町の一つで、風致地区の中で建築物を建てたり、土地の形を変えたり、木竹を伐採したりするには市長または町長の許可が必要です。増築、斜面を削った駐車場、庭木の伐採など、山の斜面の古い家で考えがちな工事の多くにかかわります。工事を考える前に、その土地が風致地区に入っているかを町に確かめましょう。湯河原の家の多くは、狭い谷の上の急な斜面に建っています。町は、自宅が土石流やがけ崩れの警戒区域に入っているかを地理情報システムで確認するよう呼びかけています。地図は参考図で、権利の証明には使えないと町は断っていますが、景色に惚れ込む前に見ておいてください。

空き家と町の支援

空き家なら、町は次の持ち主探しを手伝ってくれます。湯河原町は県西地域の市町や宅地建物取引業協会小田原支部と空き家バンクを運営し、所有者や購入を考える人の相談窓口も設けています。2026年3月にはさがみ信用金庫・全国保証と協定を結び、当初3年間固定金利0%(その後は変動金利)の空き家対策専用住宅ローンが使えるようになりました。放置のコストについても町は注意しています。状態が悪化して特定空家などに認定されると、固定資産税等の住宅用地特例の対象から外れることがあります。買ったら、温泉の管も含めて、家と庭の手入れを続けましょう。

姉妹サイトのAkiyazは日本各地の個性ある家や土地を扱っていて、湯河原・熱海側にある源泉の権利付きのリゾート施設について記事を書いています(英語)。Akiyazは一つの物件を調べる物件インテリジェンスレポートも用意しています。物件情報を読み解き、確認できた事実と、売主の説明や未確認の点を分け、ハザードマップや自治体の資料を確かめ、申し込み前に専門家に確認すべきことをまとめるものです。温泉付きの家なら、その未確認の点がまさに上に書いたことです。

湯河原は、住む人に応えてくれる町です。山を歩いたあとの家の温泉にかなうものはありませんし、平日の暮らし方は湯河原でのリモートワークガイドにまとめています。温泉が何なのかを知ったうえで決めてください。町との契約で、毎月の料金がかかり、手入れの要る管がついてきます。給湯の種類を聞き、温泉課に確かめ、値上げを予算に入れ、管を点検してもらう。そのうえで、お湯を楽しんでください。

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